奈良県のワクチン接種状況

令和3年5月28日 第17回奈良県議会新型コロナウイルス感染症対策会議

知事と石井医療部長兼医療・介護保険局長に質問した。

1 知事に質問

質問内容:奈良県のコロナ感染者(5月27日26人NHK報道)を踏まえ、現時点でのコロナ対策の評価とインド株への備えについて

2 知事と石井医療部長兼医療・介護保険局長に質問

質問内容:市町村によって、接種状況の違いがあるが、その差異について

再質問:県が市町村に積極的に支援し、早急にワクチン接種がすすむように求めたい。

 

 

 

奈良県の政治意識調査の問題点

問題点としては、三つに集約される。1有権者に対する基本的人権侵害 2県議に対する政治活動に影響を及ぼす事 3二元代表制の否定につながる。

私は、自分の考えを県議会の本会議で発言。また、その思いを以下の住民監査請求書で述べている。

住民監査請求書

令和2年1月6日

奈良県監査委員殿

請求人阪口保他4人

住 所  奈良県生駒市

下記の通り、地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添付し、奈良県監査委員に対し、必要な措置を請求する。

請求の要旨

令和元年8月28日、奈良県知事は、投票行動を通じた地方政治調査業務(以下「本事案」という。)を株式会社サーベイリサーチセンター大阪事務所に、715万円で業務委託をした。

事実証明書1 投票行動を通じた地方政治調査業務委託契約書

本事案の一つとして、県民2,000名を対象に「2019年奈良県内における政治意識調査」アンケート調査を行った。

事実証明書2 2019年奈良県内における政治意識調査のお願い

今回のアンケート調査の目的は、「本県の投票率の向上と地方政治の活性化」であるが、学歴、年収等の質問、そして本県とは直接に関係しない質問項目が数多くあり、目的に繋がっていない。

また、調査対象者の憲法で保障されている「投票の秘密」、「思想及び良心の自由」を侵害するものである。

本事案の調査は、人権を不当に侵害し、かつ、目的に沿っておらず、そのような調査の為になされた上記、業務委託契約は違法である。

よって、本事案は、目的外の支出であって、不当な公金の支出に該当し、支出の差し止めを求める。

  請求の理由

今回の政治意識調査は、問題点を要約すると下記のようになる。

一つ目は、調査対象者への基本的人権の侵害にあたること。

二つ目は、県議会議員候補者への政治活動の自由に対する侵害にあたること。

三つ目は、二元代表制の形骸化に繋がり、違法性があるということ。

そこで、一つ目の調査対象者への基本的人権の侵害について、具体的に述べる。

本県が、調査対象者に送付した「「2019年奈良県内における政治意識調査」には、個人の考えを特定するための調査ではありませんと記載している。

調査結果は、第三者に譲渡されないように厳重に保管し、かつ回答者が特定できないように処理。」すると説明している。

事実証明書2 2019年奈良県内における政治意識調査のお願い 表紙裏

今回のアンケート調査の依頼者は、奈良県地域振興部市町村振興課となっていること。

また、本事案の業務依託書では、調査対象者には、葉書による督促状兼お礼状を送付と回答率は50%以上を目標とし、回収率を高めるための方策を検討し、実施するとあること。

事実証明書3 投票行動を通じた地方政治調査業務委託仕様書

要するに、奈良県地域振興部市町村振興課名を記載し、行政の要請を全面に出す事や葉書による督促状兼お礼状を出し、断りにくい客観的状況を作り出している。

やむなく、調査対象者は、憲法で保障されている「投票の秘密」や「思想及び良心の自由」を侵害されアンケートに協力していると言える。

知事は、令和元年12月5日「委託業者においてもアンケートの回答の送付先と回収業務を分離するなど、特定性に配慮されていると聞いている。」と答弁している。

しかし、本事案の仕様書と委託契約書には、アンケートの回答の送付先と回収業務を分離するとの記載がなく、批判を受けての詭弁にしか過ぎないのではないかと考えられる。

個人情報は、どこで、どのように漏洩されるかは予見不可能である。

1 調査対象者への基本的人権への侵害に当たる質問

  • 問3 あなたが最後に在籍した学校は、この中のどれにあたりますか

1 中学校  2 高校  3 短大・高専・専門学校  4 大学院

5 言いたくない

事実証明書2「2019年奈良県内における政治意識調査」1ページ

調査対象者は、市町村の人口に比例し、各市町村に割り振られている。

事実証明書3 市長名と調査対象者数の一覧表

違法性の指摘

上記の市町村別への割り振りを見ると、当然、学歴、年収等を地域別に集計するのかも知れない。

しかし、地域別に学歴、年収等を調査し、公表する事で、学歴信仰を助長することや地域に対する偏見を生む可能性が出てくる。

実際、学歴による差別が現存している事実がある。

(2)問11-1 この4月に行われた奈良県知事選挙において、あなたは

   どの候補者に投票しましたか。

1 荒井 正吾  2 前川 清成 3 川島 実  4 白票を投じた

5 言いたくない

問11-2では、あなたはその候補者に投票する際に、どのような点をも

っとも重視しましたか。以下のうち、もっともあてはまるものを1つだ 

け選んでください。 

1 主張している政策(公約)がよかったから  2 人柄に惹かれたから

3 支持する政党が推薦していたから      4 政治の実績があったから

5 他の候補者に比べるとマシだったから    6 その他(具体的に:   )

6 言いたくない。

事実証明書2「2019年奈良県内における政治意識調査」5ページ

違法性の指摘

ア 憲法15条4項「全て選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。」

イ 公職選挙法第52条「何人も、選挙人の投票した選挙人の氏名又は政党その他の政治団体の名称若しくは略称を陳述する義務はない。」

ウ 憲法第19条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」

問11-1と問11-2の質問は、ア~ウに抵触し違法である。

(3)問13 政治に影響のある人・政党・政策についておたずねします。

以下の政治家や政党・政策に対して、温度に例えてお答え下さい・

1 安部 晋三 (  )度      2 荒井 正吾 (  )度

3 あなたのお住いの市町村長(  )度

4 大阪維新の会(  )度      5 大阪都構想(  )度

事実証明書2「2019年奈良県内における政治意識調査」8ページ

 本県と関係しない質問項目

安部 晋三は、国のこと。

荒井 正吾は、知事であり行政が県民に聞くものではなく、権力的な立

場にいる知事の人気度の強要につながる。

あなたのお住いの市町村長と大阪都構想は、夫々の自治体の有権者に任せるべき事柄である。

この問13は、全ての質問に瑕疵がる。

(4)問34 ここ5年の間に、この中にあることをどのくらい経験しましたか。

それぞれについて、「何度かある」、「1~2度ある」「一度もない」でお答え下さい。

⑥請願者に署名する

⑦デモや集会に参加する

事実証明書2 「2019年奈良県内における政治意識調査」16ページ

違法性の指摘

憲法第19「思想及び良心の自由」

上記の法に抵触し、違法である。

デモや集会に参加したか否かの質問は、調査対象者が特に不利益を被る可能性のある質問である。

2 選挙候補者への政治活動の自由の侵害に当たる質問

  • 問12-1 この4月に行われた奈良県議会議員選挙において、あなたはどの候補者に投票しましたか。

次の中から投票先を1つ選んでください。

<奈良市・山辺郡>  省略

<大和郡山>     省略

<天理市>      省略

<橿原・高市郡>   省略

<桜井市>      省略

<御所市>      省略

<生駒市>  34 阪口 保  35 樋口 清士  36 佐藤 光紀

37 粒谷 友示 38 高柳 忠夫  39 宮内 正厳

<香芝市>      省略

<宇陀市・宇陀郡>  省略

<生駒郡>      省略

<吉野群>      省略

52 忘れた

53 言いたくない

問12-12では、あなたはその候補者に投票する際に、どのような点をもっ

とも重視しましたか。以下のうち、もっともよくあてはまるもものを1つ だけお選びください。

1 主張している政策(公約)がよかったから 2 人柄に惹かれたから

3 所属している政党を支持しているから    4 政治の実績があったから

5 他の候補者に比べるとマシだったから    6 その他(具体的に:  )

7 言いたくない

事実証明書2「2019年奈良県内における政治意識調査」7ページ

違法性の指摘

奈良市・山辺郡から吉野郡まで、候補者全員の氏名を、選挙区の得票数に応じて記載している。例えば、生駒市では、当選者と落選者も記載し、候補者に投票する際に、どのような点をもっとも重視したかと聞いている。

日本国憲法21条「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。2検閲は、これをしてはならない。」との定めがある。

行政が、議員の政治活動を調査・分析し、公表することが正しいとは言えない。

公表の如何によっては、今後の選挙での住民の投票行動にも影響を与えることとなる。

議員は、県民の代表として、県民の信託にこたえるため、不断の努力をし、議会活動を通じて、県政に県民の意思を反映させている。

今回の政治意識調査は、行政の議員に対する露骨な政治介入だと捉えられても不自然ではない。

3 二元代表制の法的根拠

(1)法的根拠

ア 憲法第第92条.

地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基い

て、法律でこれを定める。地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

イ 地方自治法第17条

普通地方公共団体の議会の議員及び長は、別に法律の定めるところにより、選挙人が投票によりこれを選挙する。

ウ 奈良県議会基本条例

第5章 知事等と議会との関係  (知事等との関係の基本原則)

第13条

議会は、二元代表制の一翼として、議会が議決権を有し、知事その他の執行機関(以下「知事等」という。)が執行権を有するという互いの役割を尊重しつつ、共通の目標である県民の福祉の向上及び県政の発展のために努めるものとする。

事実証明書4 奈良県議会基本条例

上記ア~ウは、地方公共団体の長と議会との関係を示した法的根拠で」ある。

法解釈では、現行の地方自治の制度は、首長(知事)と地方議会(県議会議員)という二つの代表を直接選挙で選ぶ二元代表制をとっている。

ともに住民を代表する首長と議会が首長と対等の機関として、その地方自治体の運営の基本的な方針を決定(議決)し、その執行を監視している。

対等な機関であるのにもかかわらず、行政が議員の政治活動を評価するとなると、ア~ウの法・条例に抵触する。

 (2)令和元年6月定例議会提出予定議案の通過時の内容と現行の事業内容が異なる。

ア 6月定例議会予定議案の事業内容

投票行動分析を通じた地方政治研究事業地方として、政治研究会の開催、アンケート調査であった。

事実証明書5 令和元年6月定例議会提出予定議案抜粋

イ 開示請求で明らかになった公文書 1

投票行動分析を通じた地方政治研究事業に、候補者の意識面等からのアプローチ(候補者の立候補の動機や属性などと投票結果の関連分析)が追加されている。

また、積算内訳に有識者に図書購入費70万円が計上されている。

事実証明書6 投票行動分析を通じた地方政治研究事業

ウ 開示請求で明らかになった公文書 2

令和2年度には、県内政治家を対象としたアンケート及びインタビュー調査を本格的に実施とある。

また、工程表には、再度の有権者調査の実施を計画している事が判明している。

事実証明書7 投票行動分析を通じた地方政治研究事業資料1

議会は、補正予算で投票行動分析を通じた地方政治研究事業1,500万円を承認したが、政治意識調査の内容の違法性までも承認したものでない。

さらには、議会通過時に(2)アに記載されていないものが、(2)イ、ウで含まれており、議会をないがしろにしたものである。

4 監査委員に求める措置

   監査委員が知事に求めてほしい事項

  •  本事案は、奈良県の投票率の向上と奈良県の地方政治の活性化に繋がらず、目的外の支出である。

不当な公金の支出に該当するところから、本事案の支出の差し止めを求める。

(2) 調査の中止と回収した質問票の廃棄を求める。

(3) 政治意識調査以降の事業についての中止を求める。

事実証明書1  投票行動を通じた地方政治調査業務委託契約書

事実証明書2 「2019年奈良県内における政治意識調査」

事実証明書3   市長名と調査対象者数の一覧表

事実証明書4   奈良県議会基本条例

事実証明書5   令和元年6月定例議会提出予定議案抜粋

事実証明書6  投票行動分析を通じた地方政治研究事業

事実証明書7   投票行動分析を通じた地方政治研究事業資料1

 

 

奈良県の政治意識調査の地裁判決に不服。控訴

この政治意識調査は、投票率の向上や奈良県の地方政治の活性化を掲げているが、調査項目を精査すると、質問項目が調査目的と逸脱している。結論だけ述べると、憲法で保障されている有権者の「投票の秘密」「思想及び良心の自由」等を侵害している。

当初の予算は、1500万円です、そんなに疑義のある事案ではないと思われた。しかし、開示請求をし、一連の経緯や質問項目、本当の目的等が判明することで、大いに問題があるこがわかる。

県議会の本会議でも知事を追及、また、政治意識調査の見直しを求める決議案を阪口保(創生奈良会派)が提案。

採決では(創生奈良5,新政なら5,共産4,維新4)の合計18人の賛成を頂いた。一方反対が23人(自民10,自民奈良8,自民絆2,公明3)。

また、見張り番・生駒(代表幹事阪口保)で令和2年1月6日政治意識調査の業者への委託料715万円の返還を求めての住民監査請求(見張り番・生駒)。こういう事もあり、1月22日に知事は、事業の中止を発表。

こういう流れにもかかわらず、地裁の判決は、棄却。棄却の内容を見ても、市民の人権や不安を解消するものとほど遠い。寂しい判決内容。

そういう意味で言うと、治意識調査の見直しを求める決議案を阪口保(創生奈良会派)が提案に、創生奈良5,新政なら5,共産4,維新4の合計18人の賛成を頂き、中止に追い込んだというとは、議会の監視能力が働いたと評価できるのかも知れない。

画像は、・判決の記者会見(NHK)・議会での質問(関西テレビ報道ランナー)