質問全文
令和2年3月代表質問
創生奈良、生駒市選出の阪口保が代表質問をさせて頂きます。
早速、質問に入ります。
最初は、奈良県ビジターズビューローにおける不適切会計とパワハラについて質問します。
奈良県ビジターズビューローは、奈良県の歴史的、文化的、社会的、経済的な特性を活かし、観光振興並びにコンベンションの誘致及び支援する事業を目的とし、平成21年4月に設立されました。 画像1
この奈良県ビジターズビューローは、県の連結対象団体の一つで、観光局の観光プロモーション課の所管です。
奈良県ビジターズビューローの総出資額は、2億1850万円、そのうち、奈良県が1億6250万円を出資し、県の出資比率が74.37%です。
この団体の運営に当たっては、奈良県が毎年、補助金を出しており、令和元年度収支予算書によると、約1億2千万円であります。
その補助金の内訳は、人件費に約9474万円、事業費として約2452万円です。
県以外からは、国庫補助金の約2000万円、奈良市負担金の約2400万円、受益市町村負担金の約1200万円となっています。
県ビジターズビューローの組織は、一般財団法人ですので、一般財団法人法の定めに基づき、運営されなければなりません。
現在、県ビジターズビューローの理事会の理事長は、奈良県知事の荒井正吾氏、専務理事として県を退職し、天下りをした中西康博氏がいます。
主に、県の出資金で設立され、県の補助金で運営されているビジターズビューローがどのような酷い経営状況であるか説明します。
一点目は、不適切な会計についてです。 画像2
平成30年度収支計算書に、オーダーメイド旅行商品販売収入として、予算額約3200万円で、決算額約1500万円と記載されています。
しかし、実際のオーダーメイド旅行商品販売収入は、約124万円程度でした。
当初の予算に近づける為に、葛城市での相撲博物館・外国人の相撲体験、春日大社、橿原神宮のグループの夜間参拝等の既存の事業の売り上げ、約1377万円をのせて、決算額1500万円として、虚偽の記載をしています。
また、ネット販売予約サイト旅行商品収入(外国人向けの春日大社参拝旅行企画・国宝館、おもちつき、農村体験)の予算が1000万円、決算額が約1200万円と記載されています。
しかし、実際のネット販売予約サイト旅行商品収入は、約74万円程度です。ここでも当初の予算の事業が成功したように、虚偽の報告をする為に、春日大
社造替参拝企画のプログラム(オペレーションの代行)約1154万円の事業の売り上げをのせています。つまり計算書に記載されている『新たなインバウンド向けの事業』の決算額の95%以上が実は『日本人向けの既存の事業』なのです。虚偽記載の原因は、中西専務理事が思いつきで計画性のない事業をあたかも成功したように見せる為に、見栄をはり粉飾したものです。
さらに、平成30年の猿沢イン旅行カウンターサービスの受託事業についても疑義があります。 画像3
この受託事業は、計上予算額600万円、決算額が27万4637円と記載されていますが、実際に要した費用は、約14万円程度のようです。
600万円を計上し、決算の額が少なかったのは、実質的な業務を全くおこなわなかったからです。
また、この受託事業は、JTB奈良支店が奈良県ビジターズビューローに委託したものです。
しかし、事業費の原資は、本県が奈良県外国人観光局交流館運営管理業務の委託費として、平成30年に約1億7600万円をJTBとアベストコーポレーションの共同企業体に委託しており、その費用の一部です。
簡単に言うと、委託を受けたJTB奈良支店が奈良県ビジターズビューローに実質、再委託した構図となります。
さらに、奈良県ビジターズビューローは、JTB奈良支店に162万円の追加請求を行っており、約14万円程度の支出であったところから、約748万円の不適切な利益を得たと推認しています。
次は、県の補助金ではありませんが、国庫補助金を活用した観光庁の専門人材の補助事業において疑惑があります。
令和元年の補助事業で、北海道宝島旅行社に月額70万円とHuberに月額162万円のアドバイザー料を支払っています。しかし、この事業は、費用対効果が合わないと伺っています。
この補助金の問題だけでなく、奈良県ビジターズビューローの事業発注先企業である北海道宝島旅行社の役員が、事業発注部署の奈良県ビジターズビューローのインバウンド事業部の部長に就任しています。
このような、事業発注先企業と事業発注元の奈良県ビジターズビューローとの関係は、利益相反行為に該当する疑いがあります。 画像4
二点目は、平成30年8月1日~ ニューヤマザキデイリーストア奈良猿沢Deer店として、奈良県猿沢イン内にできたアンテナショップ兼コンビニエンスストアについてです。
現在、コンビニの品物の発注業務から運営に至るまで、県ビジターズビューローの職員が務めていますが、奈良県からの補助金の人件費は、観光に係わる業務の人件費であって、コンビニ運営の為の人件費ではありません。
事業報告書のアンテナショップ運営の決算額にあるアンテナショップ管理運営費の内容について、詳細な説明が必要です。 画像5
事業計画では、アンテナショップ兼コンビニエンスストアの運営で、外国人目線での取扱商品の開拓、関連する旅行商品の提供の必要性を説いていますが、本年、2月7日に視察をしましたところ、流行っていないコンビニの印象を受けました。
果たして、観光ビジターズビューローが、コンビニエンスストアの経営をする事が適切なのか、疑問におもいます。
三点目は、一般財団法人奈良県ビジターズビューローが一般財団法人法にある定款を遵守せずに、組織運営をしていることについてです。
定款の中には、評議委員会や理事会の組織設置や第36条で理事会の権限を定めています。
例えば、重要な使用人の選任、及び解任や重要な組織の設置、変更及び廃止等に於いて、定款の第36条2項で理事会の承認を必要としています。
しかし、部長を降格させる人事や組織の変更について、理事会の承認を得ずに、
組織運営がなされており、一般財団法人法に抵触します。
四点目は、昨年12月中川県議からも知事に質問があった、日常的にみられるパワハラと面談という名の退職勧奨についてです。
その結果、意欲があり能力のある職員が次々と、退職し、2018年4月~現在にかけて37名のうち、18名が退職いたしました。
中西専務理事は、自分の意に沿わない人物に、延々と人格攻撃と強権で仕事を取り上げ、退職勧奨を迫るという方法で職員を退職に追いこんでいます。
例えば、人前で、特定の人物の身体的要素を取り上げての差別的な発言。また、地域住民や旅館業者への暴言。さらには、県庁時代には、「県職員をあっちこっち移動させながら、最後にその研修センターで囁いても辞めなかったやつは、降格さして、一番酷いのは懲戒免職になっているからな」と違法な退職の手口を披露し、ビジターズビューローの職員を恫喝しています。
私に言わすと、退職すべきなのは、明確な観光政策と組織運営ができず、パワハラを繰り返す中西専務理事です。
私の調査では、この状況がさらに続けば退職を考えている職員もいると伺っています。
一般財団法人奈良県ビジターズビューローは、法の規制と主に県の補助金を受けて運営しており、何をしても良いとうものではありません。
今般、調査してわかったことは、恐るべきパワハラ、労働基準法に違反した労働の強要、不適切な会計処理、一般財団法人奈良県ビジターズビューロー定款を無視し、一般財団法人法に違反した組織運営等の実態であります。
早急に人事の刷新を図り、働きやすい職場環境を作り、退職者の防止、違法な退職勧奨を受け休職した方、退職した方の原状の職場への復帰です。
そこで、知事に伺います。
奈良県は、ビジターズビューローに毎年補助金を支出しているが、平成30年度の収支計算書には不適切な虚偽記載が見られる。さらに、一般財団法人法の定款に基づかない組織運営や中西専務理事のパワハラによる退職勧奨等もある。これらについて、どのように考え、どう対処されようとしているのか伺います。
二つ目は、政治意識調査についての質問です。
昨年12月5日の代表質問において、県が実施した政治意識調査は、憲法で保障されている「投票の秘密」「思想・信条の自由」等の基本的人権を侵害しており、また、個人の特定に繋がり、情報漏洩の不安があると指摘し、調査の中止を求めました。
そして、本会議の最終日には、投票行動分析を通じた地方政治研究事業の見直しを求める決議案、即ち、政治意識調査の中止を求めての決議案を創生奈良から提出し、賛成18人の賛同を得たものの否決となりました。
知事は、本年、1月21日の定例記者会見で、今年度から令和2年にかけて実施予定だった「政治意識調査」について、事業の後半にあたる県内首長らへのインタビューや来年度の調査の実施を見合わせると発表されました。
中止の理由は、「調査を担当した教授らが、批判など物議を醸している状況では実施は難しいと判断した」ということでありました。しかし、実施した政治意識調査の結果は、公表するというものです。
知事は、政治意識調査の中止の理由を、調査を担当した教授の責任に転嫁しているように感じます。県の事業であるところから県民の意見、県議会での質疑等を勘案し、中止すべきであると指摘しておきます。
次に、政治意識調査を公表するとの事ですが、公表を中止すべきだと考えます。
今般の政治意識調査は、質問項目に、「投票の秘密」「思想及び良心の自由」等の基本的人権を侵害する内容を含んでいること。調査対象者の学歴、職業、年収、年齢、性別、結婚、家族構成等の詳細を聞いていること等から、県民は
政治意識調査の事業への不満と個人情報の漏洩に不安を持っています。
公表することで、その仕方によっては、個人情報の特定につながるリスク、地域の特性をあきらかにする事での地域への偏見が生じる可能性等があり、公表するより、公表しない方が混乱を生じないように考えます。
調査対象者の少ない村では、対象者が20人となっており、回答率が50%とすると、回答した人は、10人前後となるので、こういう小人数のところでは、特定されやすい事も指摘しておきます。
そこで、知事に伺います。
今年度、県が実施した政治意識調査の結果を公表することで、「投票の秘密」、「思想及び良心の自由」等の基本的人権を侵害するのではないか。また、個人が特定されるリスクが出てくるのではないかと考えますが、いかがお考えでしょうか。
三つ目は、平城宮跡歴史公園南側の積水化学工業株式会社における工場跡地の活用方策の検討について質問します。
昨年の12月の代表質問で、平城宮跡歴史公園南側の積水化学工業株式会社における工場跡地の活用方策の検討について質問しました。
知事は、「県としては、憩いと賑わいの機能を併せもつ公園整備が最も相応しいのではないかと考えております。」と答弁されました。
今後は、公園整備に向けて手続きを進められていくことになりますが、積水化学工業株式会社の工場跡地は、約4.9haにも及ぶ広大な土地であり、どのように土地を取得し、どのように公園整備を進めようとしているのか、県民にとって非常に関心の高いところです。
そこで、まちづくり推進局長に伺います。
積水化学工業株式会社からどのような手順で土地取得を行う方針なのか、その土地取得にあたりどのくらいの予算が現時点で必要であると想定しているのか。また、現在想定している今後の事業の進め方についてお聞かせください。
四点目は、県立高等学校の制服についての質問です。
平成30年度の奈良県の県立高等学校33校の制服の取り扱いを調査しますと、入学に際し、学校が指定した制服を生徒の保護者に購入させるようになっています。
その費用は、入学にあたって準備する品物の中で、最も高額であるところから、保護者の経済的負担の軽減と良質な品質であることが求められています。
また、保護者からは、制服の価格、品質だけでなく、在学中の3年間着用することも多く、購入後の補修などのアフターサービス、補修への対応も求めています。
制服の選定は、本県の場合、学校長、教頭、事務長、関係教職員、保護者代表からなる学校指定物品検討委員会を構成し、制服メーカーと販売店を決めているようです。
しかし、高校再編をした奈良県立国際高等学校においては、公募型プロポーザルを実施し制服メーカーと販売店を決めました。
また、実際の制服の流通の経路は、一般的に制服メーカーが販売店に卸売を行い、生徒・保護者は販売店から制服を購入している現状が多いようです。
特に、先にも言いましたように、制服の費用は、高額であり保護者の負担も大きいところから、制服メーカーと販売店の決定については、競争性、透明性を担保する必要があります。
平成29年公正取引委員会の調査報告では、制服の販売価格を抑制するためには、「制服メーカー及び指定販売店の選定においては、コンペ等の方法で選定する、参入希望を受け入れるなどにより指定販売店等を増やす」ことを求めており、一方、「学校は、制服の取引に関与する際に、制服メーカー又は販売店の独占禁止法違反行為を誘発するおそれがあり留意が必要」と指摘しています。
そこで、教育長に伺います。
一点目 奈良県の県立高等学校に納入している制服メーカーのシェアとメーカーと販売店の選定方法は、どのようになっているのか。
二点目 奈良県の県立高等学校の制服の価格は、どのようになっているのか。制服の決定においては、保護者、生徒の意向がもっとも重視されなければならないと考えており、学校の指定物品検討委員会の充実が必要ではないか。
三点目は、例えば、生駒高等学校に於いては、販売店が生駒市内にある三つの業者である。制服は、補修等の事も考慮すると、生徒が居住する地域からも販売業者を選ぶべきでないのか。生徒、保護者の利便性をどのように考えているのか。
五点目は、プラスチックごみの削減についての質問です。
海洋プラスチック問題、地球温暖化等の環境問題の視点から、昨年の本会議で2度プラスチックごみの削減の質問をしました。
また、関西広域連合議会の本会議でも積極的に取り組むように質問をしています。本年、関西広域連合では、令和2年度主要事業の中に、新規事業としてプラスチック対策の推進として、プラスチックごみ散乱状況の把握に約500万円、代替プラスチックの普及可能性に約500万円等、計約1100万円が予算化されました。
そこで、景観・環境局長に伺います。
県として、令和2年度にどのような予算を計上されて、どのような取り組みをされるのか。
六つ目は、部落差別解消推進条例についての質問です。
部落差別が今なお存在することを明記し、2016年12月に施行された「部落差別の解消の推進に関する法律」をうけて、これまでから部落差別の解消を図るため、
様々な取組を先駆的に推進してきた奈良県では、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ、部落差別のない社会を実現することを目的に、全国に先駆け、議員提案により「奈良県部落差別の解消の推進に関する条例」を2019年3月に制定し施行いたしました。
国内では、「部落差別解消推進法」だけでなく、「障害者差別解消推進法」や「ヘイトスピーチ解消法」の差別解消の個別法、いわゆる人権3法が同年に制定されました。新しいところでは、あまりにも頻発している児童虐待の防止にかかわって児童福祉法が改正され、また、川崎市でヘイトスピーチに刑事罰を科す条例が制定されたことに見られるように、個々の人権を大切にする動きが強まっています。
そして国際的にも、国連で採択された「持続可能な発展のための17項目」というSDGsの動きが強まっています。部落解放運動は、人権文化の底上げに貢献し、国内、世界の動きに連なっていることを感じます。
残念ながら依然として平成の部落地名総鑑と言うべき『全国部落調査(復刻版)』出版事件が起き、「部落探訪」等、ネット上に被差別部落に関する情報が掲載されるなど、部落差別事件が全国各地で起きています。
一刻も早く部落差別がない人権社会が実現することを願ってやみません。そのためにも法と条例の趣旨が十分に施策に反映されることを期待しています。
そこで、くらし創造部長に伺います。
「奈良県部落差別の解消の推進に関する条例」では、県は、部落差別の解消に関し、国及び市町村との適切な役割分担を踏まえて、国及び市町村と連携を図りつつ、部落差別の解消に関する施策を講じることが規定されているが、どのように連携して、条例の具体化の施策展開を図ろうとしているのか伺います。
以上で檀上からの質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。