王寺工業高校の耐震化関連工事の違法随意契約を提訴

 

 

 

 

 

令和3年7月15日 画像は、関西テレビ 左:兒玉弁護士、右:阪口保 見張り番・生駒(代表幹事阪口保)が提訴(王寺工業高校の耐震化関連工事の違法随意契約訴訟)。

関西テレビ、奈良テレビ、毎日新聞、読売新聞、朝日新聞、奈良新聞が報道

毎年、毎年、随意契約を行っている。予算審査特別委員会で指摘し担当課長が謝罪をしても、随意契約がなくななない。

なぜ? 工事契約日から1年経過したものは、監査請求の対象外。当然、訴訟から除外される。通算すると相当な金額。

王寺工業高校の耐震化関連工事葉、1年以内。私の方は、膨大な開示請求文書を精査し、分析した(開示請求文書費用も約2万円ほど要した)。

訴状

請 求 原 因
第1 はじめに
本訴訟は、奈良県立王寺工業高等学校において、地方自治法234条2
項、地方自治法施行令167条の2第1項1号、奈良県契約規則16条等
を潜脱する違法な「分割発注」にかかる工事に関して、奈良県が蒙った損
害につき、奈良県知事である荒井正吾、及び同校の校長として各契約の締
結、代金の支払を命令した住本裕一、さらに工事を受注した株式会社菊井
組に対し、同工事によって奈良県が蒙った損害の賠償等を求めるものであ
る。
第2 当事者
1 原告らについて
原告らは、いずれも奈良県民である。
原告らは、後述する住民監査請求手続きにおいて、請求人となっている
(甲7)。- 4 –
2 被告らについて
(1) 奈良県は、普通地方公共団体である(地方自治法1条の3)。
奈良県知事は、同県に関する事務を管理・執行している(地方自治法1
48条)。
荒井正吾(以下「荒井」という)は、奈良県知事の職にある。
(2) 奈良県立王寺工業高等学校(奈良県北葛城郡王寺町本町3丁目6番1号。
以下「王寺工業高校」という)は、学校教育法2条に基づき、奈良県に
よって設置されている(奈良県立高等学校等設置条例昭和31年10月1
6日奈良県条例第42号)。
同校の施設、設備は、奈良県立高等学校等の管理運営に関する規則(昭
和31年11月20日教育委員会規則第8号)35条の2によれば、奈良
県教育委員会によって任命された校長がその管理を総括している(なお、
地方教育行政の組織及び運営に関する法律34条)。
(3) 住本裕一(以下「住本」という)は、本請求で問題としている2020
年(令和2年)4月から同校の校長の職にある。
高等学校の校長は、当該高校にかかる経費について支出負担行為、及
び同じく支出を命令することについて、奈良県知事から事務の委任を受
けている(地方自治法153条2項。奈良県会計規則2条7号、8号、同
規則3条5号イ、ウ。平成16年3月30日奈良県告示第661号「か
いの指定」)。
(4) 株式会社菊井組(奈良県大和高田市旭北町8-35。代表取締役菊井恒
孔。以下「菊井組」という)は、本訴訟で問題としている各工事について、
これを、いずれも受注した建設会社である。
なお、菊井組は、王寺工業高校以外にも、奈良県下の県立高校にかか
る工事を多数受注しており、例えば、2019年(令和1年)には、奈良
県立高田高等学校における工事についても、本件と同様の「分割発注」
にかかる工事を受注している。これについては、奈良県監査委員から問- 5 –
題を指摘されている。
第3 合理的な理由もなく分割発注された一連の工事の概要
王寺工業高校においては、2020年(令和2年)5月以降、菊井組に対
し、次の工事を発注し、それぞれ工事代金の支払いを行った。そして、い
ずれも地方自治法施行令167条の2第1項1号、奈良県契約規則16条
に基づく「随意契約」の方法によっている。
1 焼却炉ダイオキシン洗浄処分工事(甲1、2。以下「本件工事①」とい
う)
(ア) 工事の概要
王寺工業高校に設置されている焼却炉を解体するための洗浄及び
処分
(イ) 契約日(債務負担行為日。以下、同じ)
2020年(令和2年)5月21日
(ウ) 契約金額
242万円
(エ) 支払日(支出命令日。以下、同じ)
同年7月7日 242万円
2 校舎解体に伴う解体・撤去工事(甲3、4。以下「本件工事②」という)
(ア) 工事の概要
王寺工業高校に設置されている工事支障物件(焼却炉・食堂入口庇
等)の解体・撤去
(イ) 契約日
2020年(令和2年)5月21日
(ウ) 契約金額- 6 –
207万2400円
(エ) 支払日
同年7月7日 207万2400円
3 校舎解体に伴う公使室新設と駐輪場撤去工事(甲5、6。以下「本件工事
③」という)
(ア) 工事の概要
王寺工業高校の校舎解体に伴う公使室の設置、並びに工事支障物
件(駐輪場)の解体・撤去
(イ) 契約日
2020年(令和2年)6月18日
(ウ) 契約金額
228万6900円
(エ) 支払日
同年8月31日 228万6900円
第4 法律関係の整理
1 法令の定め
(1) 地方自治法
(契約の締結)
第234条 売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争
入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。
2 前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場
合に該当するときに限り、これによることができる。
3 ・・・・以下、省略
(2) 地方自治法施行令(以下「法施行令」という)
(随意契約)- 7 –
第167条の2 地方自治法第234条第2項の規定により随意契約によ
ることができる場合は、次に掲げる場合とする。
1 売買、貸借、請負その他の契約でその予定価格(貸借の契約にあ
つては、予定賃貸借料の年額又は総額)が別表第5上欄に掲げる契
約の種類に応じ同表下欄に定める額の範囲内において普通地方公共
団体の規則で定める額を超えないものをするとき。
2 ・・・・以下、省略
(3) 奈良県契約規則
(随意契約)
第16条 随意契約によることができる場合における令第167条の2第
1項第1号に規定する予定価格(単価による契約にあつては、購入等の予
定単価に予定数量を乗じて得た金額)(貸借の契約にあつては、予定賃貸
借料の年額又は総額)について規則で定める額は、次の各号に掲げる契約
の種類に応じ、当該各号に定めるとおりとする。
1 工事又は製造の請負 250万円
2 財産の買入れ 160万円
3 ・・・・以下、省略
2 分割発注行為の違法性
(1) 地方自治法234条の趣旨については、「普通地方公共団体の締結す
る契約については、機会均等の理念に最も適合して公正であり、かつ、
価格の有利性を確保し得るという観点から、一般競争入札の方法による
べきことを原則とし、それ以外の方法を例外的なものとして位置づけて
いるものと解することができる。そして、そのような例外的な方法の一
つである随意契約によるときは、手続が簡略で経費の負担が少なくてす
み、しかも、契約の目的、内容に照らしそれに相応する資力、信用、技
術、経験等を有する相手方を選定できるという長所がある反面、契約の
相手方が固定化し、契約の締結が情実に左右されるなど公正を妨げる事- 8 –
態を生じるおそれがあるという短所も指摘され得ることから、令167
条の2第1項は前記法の趣旨を受けて同項に掲げる一定の場合に限定し
て随意契約の方法による契約の締結を許容することとしたもの」と解さ
れる(最判昭和62年3月20日民集41巻2号189頁)。
そして、「法施行令167条の2第1項1号が、少額契約の場合に随
意契約によることができるとしたのは、予定価格が少額な場合にまで常
に競争入札によるべきこととするのはかえって行政コストを増す結果と
なる上、少額の場合には、上記弊害による影響が少ないためと解される。
したがって、普通地方公共団体が締結する工事の請負契約について、1
個の契約として締結するのが通常と認められるにもかかわらず、複数の
契約に分割して締結することによって、法令が随意契約によることがで
きる場合を限定した趣旨を潜脱することになる場合には、(いかなる範囲
の工事について1個の契約として締結するかにかかる)裁量の逸脱又は濫
用があり、同号には該当しないものを随意契約の方法によったもの」と
解すべきである(京都地裁平成24年6月22日判例集未登載。また、碓
井光明「公共契約法精義」209頁以下、江原勲「詳説自治体契約の実
務」87~89頁)。
(2) ここで上記第3の1~3の各工事請負契約は、いずれも王寺工業高校
の南館の改築工事に関連した工事であり、施工場所、工期、さらに工事
の種類にしても、相互に密接に関係するものであるところ、通常であれ
ば一括して1個の契約として締結されるのが通常と認められるものであ
る。実際、全て菊井組が受注している。
ところが、これをことさらに3個の契約に分割し、しかも個々の契約
金額が奈良県契約規則16条1項1号にかかる250万円の枠に収めて
いる。本来1個の契約として締結すべき工事を、意図的に細分化するこ
とは、地方自治法ないし法施行令、奈良県契約規則の趣旨を潜脱又は濫
用するものである。
奈良県教育委員会事務局、及び王寺工業高校は、本件工事①及び本件- 9 –
②については一括して1個の契約として発注すべきであったことを認め
ているものの、本件工事③については、仕様等を同時決定することが困
難であったなどと主張しているようである。この点については、本訴訟
の中で、さらに資料等の提出を求め検討することになるが、個々の工事
内容は、相互に関連する一方で、工事期間は、いずれもわずか数日ずつ
に留まっており、敢えて250万円の枠内に収まるように「細工」をし
たと考えるのが自然である。
(3) 以上によれば、上記第3の1~3の各工事請負契約は、法施行令16
7条の2第1項1号に該当しないにもかかわらず、随意契約によったも
のいうことになる。
3 故意、過失ないし重過失
(1) 住本について
上記の通り、住本は、上記各契約にかかる支出負担行為について、奈
良県知事から委任を受け、同契約を締結したものであり、また、各支出
命令についても同様である。したがって、故意又は重大な過失により、
財務会計法規に違反して上記各契約を締結し、奈良県に損害を与えた場
合には、これによって生じた損害を賠償する必要がある(地方自治法24
3条の2第1項後段、同条3項)。
この点、①上記各工事の内容等に照らした場合、本来1個の契約とし
て締結すべきことは一目瞭然であり、敢えて3個の契約に細分化し発注
することが法施行令167条の2第1項1号等の枠組みを潜脱すること
になる違法な「分割発注」にかかるものであることは容易に認識できた。
以上の事実に鑑みると、住本において、故意又は重過失が存在したこ
とは明らかである。
(2) 荒井について
荒井は、奈良県知事として、予算の執行等の「財務会計上の行為を行
う権限を法令上本来的に有するものとされている者」(最判昭和62年4- 10 –
月10日民集41巻3号239頁)に該当する(地方自治法148条、同
法149条)。
もっとも、上記の通り、奈良県知事は、王寺工業高校の校長に、その
経費の支出等に関する権限を委任している。しかし、このような場合で
あっても、委任を受けた職員の財務会計上の違法行為を阻止すべき指揮
監督上の義務に違反し、故意又は過失によりその補助職員が財務会計上
の違法行為をすることを阻止しなかったときには、やはり、損害賠償義
務を負うことになる(最判平成5年2月16日民集47巻3号1687
頁)。
ここで、上記の通り、住本において、法施行令167条の2第1項1
号等の趣旨を潜脱する違法な「分割発注」を行うとしているにもかかわ
らず、敢えてこれを放置し、あるいは過失によってこれを阻止しなかっ
た。
以上の事実に鑑みると、荒井において、故意又は過失が存在したこと
は明らかであり、奈良県に対し、損害賠償義務を負っている(民法709
条)。
(3) 菊井組について
菊井組は、王寺工業高校に限らず、奈良県下の県立高校にかかる工事
を不自然なほど多数受注している。しかも、今回のような違法な分割発
注にも、これまで複数関わっている。
今回のような契約が、法施行令の趣旨を潜脱する違法なものであるこ
とについても、十分に知悉している。
したがって、同社についても、故意又は過失が存在したことは明らか
であり、住本、荒井らとともに、奈良県に対し、損害賠償義務を負って
いる(民法709条)。
4 違法な随意契約によって生じた損害
(1) 上記の通り、違法な随意契約が締結されたことによって、競争性が不- 11 –
当に喪失させられ、その分だけ工事請負代金が上昇したことになる。
その具体的な金額であるが、談合等独占禁止法違反にかかる事例と同
様に考えるのが相当である。ここで、王寺工業高校が菊井組との間で締
結した各契約書においては、このような事例にかかる損害として、請負
代金額の10分の2に相当する金額を予定している(各契約書の52条1
項参照)。今回、上記第3の1~3の請負代金額の合計が677万930
0円であるところ、その2割は135万5860円となる。
ところで、独占禁止法違反にかかる事例に関する損害賠償の予定条項
における損害金額が、請負金額の2割とされることになったのは、従前、
原告らの一部が提訴した住民訴訟の成果である。それまでは、合理的な
理由もなく1割とされていたものの、奈良県下の入札事案を網羅的に検
証する中で、少なくとも2割の損害は生じている旨が裁判所によって認
定されたものである(大阪高判平成22年8月24日判治341号18頁
-「宇陀土木事務所測量・設計談合事件」)。
本件においても、奈良県は、少なくとも同金額の損害を蒙ったと考え
るのが自然である。
(2) この点、後述するように奈良県監査委員は、一連の随意契約の違法性
は認めたものの、損害の発生を否定している(甲9)。
しかし、これには理由がない。
すなわち、奈良県監査委員は、奈良県に生じた損害の有無を検証する
にあたって、「受注者」、つまり菊井組が「見積書に記載した規格、数
量、単価を参考にした」とのことである(甲9の15頁)。原告らは、現
時点において、奈良県監査委員らが検証したとされる資料の入手、吟味
を終えていない。しかし、少なくとも、今回のような監査の過程におい
てまで、違法行為を行った当事者であるところの菊井組が作成した見積
書に依拠するというのは、あまりに安直であり、真摯さにかけると非難
されてもやむを得ない。- 12 –
5 まとめ
以上によれば、奈良県は、荒井及び住本、さらに菊井組に対し、上記第
3の1~3の各工事請負契約に関連して、少なくとも、その請負工事代金
額の合計677万9300円の2割にあたる135万5860円の損害賠
償請求債権を有している。
第5 職員措置請求の経過
原告らは、2021年(令和3年)4月20日、以上述べたような一連の随
意契約に関して、違法を是正し、奈良県に生じた損害の賠償を求めるため、
事実を証明する資料を添付し、住民監査請求を行った(甲7、8)。
これを受けた奈良県監査委員は、同年6月17日、一連の随意契約の違法
性の一部は認めたものの、結果として奈良県には損害が生じていないなどと
して、最終的にこれを棄却した(甲9。なお、通知の受領は翌18日)。
ここで、同委員の判断は、一部とはいえ、本訴訟で問題としている一連の
随意契約の違法性を認めたことに関しては正当として是認できる。しかし、
奈良県に損害は発生していない、さらには故意過失がないなどとする点につ
いては、事実の評価を誤るものというほかない。
第6 まとめ
原告らは、被告奈良県知事に対し、一連の違法な随意契約が締結されたこ
とによって奈良県が蒙った合計135万5860円の損害につき、
(1) 住本に関しては、「地方自治法243条の2の2第3項の規定に
よる賠償の命令の対象となる者」に該当することから、同法242
条の2第1項4号但書に基き、賠償の命令を行うことを、
(2) 荒井に関しては、同号本文にかかる「当該職員」にあたることか
ら、同号に基づき、損害賠償請求を行うことを、- 13 –
(3) 菊井組に関しては、同号本文にかかる「当該行為若しくは怠る事
実に係る相手方」にあたることから、同号に基づき、損害賠償請求
を行うことを、
それぞれ求めて、本訴訟の提起に至ったものである。

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