6月28日(月)一般質問午後1時50分(山辺高校のサッカー部の在り方について)

まず、最初の質問は、昆虫保護条例の制定についてです。

昆虫には、カブトムシ・カミキリムシ・蛍・テントウムシの甲虫、チョウ、トンボ、バッタ、ミツバチ、アリ、ハエ等の種類があります。

地球上の全動物種の約4分の3が昆虫であると言われていますが、近年、昆虫が減少しています。

Gサイエンス学術会議共同声明2020 地球規模での昆虫減少による生態系サービスの消失による論文では「世界中で昆虫の個体数の減少や多様性の低下が確認されている。例えば、ドイツでは 飛翔性昆虫のバイオマス(生物体量)が27年間で75% 減少したこと、全世界の蝶および蛾の個体数が 40年間で35%減少したことなどが報じられている。」と述べています。

昆虫は、植物の花粉媒介者で、植物は昆虫によって授粉しており、昆虫がいなくなれば木の実や種子をつくることもできなくなってしまいます。

また、昆虫は、他の昆虫や動物の食物資源であるとともに、有機物の分解、水域の浄化、肥沃な土壌の改善を行っており、生態系の基盤を構成する存在であります。

ミツバチの大量死が発生したドイツを例にとりますと、昆虫の大量死を阻止するための「昆虫保護行動計画」が2019年に施行され、昆虫の生息環境を改善するために、昆虫保護法、昆虫の生息地の保護と再生、昆虫生息地における殺虫剤及び汚染物質の流入の削減等の昆虫保護行動計画の対策をたてています。

本県に於いては、画像本:生物多様性なら戦略で「現在、地球全体で毎年4万種もの生き物が絶滅しているといわれています。私たち大人が子どもの頃には、雑木林にはカブトムシやクワガタがいて、小川やため池にはメダカ、タガメ、ゲンゴロウ、ホタルなどがたくさんいました。しかし、現在ではこれらの生きものを野外でみかけるのが難しくなっています。」と述べています。

また、令和3年3月の奈良県森林環境の維持向上及び県産材の利用促進に関する指針では「生物多様性が保全される森林づくり」を施策の柱にすえています。さらに、一歩進んで、野生の昆虫が,生態系の重要な構成要素であることに鑑み,昆虫の減少を食い止めることを目的とした施策も必要と考えます。

 そこで、水循環・森林・景観環境部長に伺います。  生態系の重要な構成要素である昆虫の減少を食い止める施策を推進するため、昆虫保護条例の制定が必要と考えますが。いかがお考えでしょうか。

 二つ目の質問は、県立山辺高等学校サッカー部の部活動のありかたについてです。

 まず、特徴的な問題事例とその対応について、こちらの表に記載しています。  画像2:問題事例の表を掲示

表の上段に記載していますが、1期生の保護者が、息子が監督からパワハラを受けたことを原因として退部。その事で、監督・運営会社を提訴しています。

また、2期生の保護者も息子が、監督のパワハラを巡って退部。その事で、県教育委員会・運営会社代表に話し合いを求めています。

次に、2020年8月・9月とサッカー部員の法律に違反する飲酒行為が発覚しました。多数の部員が飲酒にかかわったことから、全国大会の参加を自粛するだろうと受け止めていましたが、学校、県教育委員会の判断は、出場させるという方針で、社会通念上の解釈と異なっていました。

しかしながら、山辺高校サッカー部に於いて、再度、2021年2月に飲酒・喫煙行為が発覚。

4月16日に県教育委員会・学校長が記者会見をし、この行為の概要、並びに県大会には参加させると発表しました。

私のもとには、1期生・2期生の元サッカー部の保護者から、県教育委員会・高校の対応が不適切と言う相談がきています。

次に、山辺高等学校サッカー部の問題点を5点にわたって検証していきます。

検証の一点目は、こちらの表に記載しています、山辺高等学校とボスコヴィラサッカーアカデミーとの関係についてです.    画像3:図式を掲示

まず、ボスコヴィラサッカーアカデミー(民間の天平フーズ経営)が生徒を全国募集し、合格者を決定します。

その合格者を全員、県立山辺高等学校を受験させ、入学させています。

入学後は、全員をサッカー部に所属させるというものです。

山辺高等学校の一般の生徒がサッカー部に入部しているというケースは、存在しませんし、一般の生徒の部員募集もありません。

ボスコヴィラサッカーアカデミーに所属する山辺高等学校のサッカー部の生徒は、県外から多数来ていますので、山辺高等学校から少し離れた天平フーズ運営の並松寮で生活し、並松寮(画像4A掲示)ら通学しています。 

また、練習は、山辺高等学校のグランドで行うのではなく、学校から徒歩15分ほど離れた奈良市針町の「いこいの村大和高原」のサッカー場で練習を行っています(画像B・C掲示)

この「いこいの村大和高原」は奈良県の施設で、平成30年9月1日に有限会社天平フーズに、管理委託(指定管理)したものです。

施設には、飲食店・宿泊施設・サッカー場・グランドゴルフ場等があります。

つまり、ボスコヴィラサッカーアカデミー生は、天平フーズが奈良県から委託を受けた施設で練習をしています。

練習の指導は、山辺高等学校の教師が指導するのではなく、ボスコが契約した監督の下で、指導を受けておりますが、但し、高体連主催の公式戦には、「山辺高等学校サッカー部」として出場いたします。

昨年の全国大会は、引率を教員が行い、その費用は、県費負担(県民の税金)となっています。

以上のことから、山辺高等学校のサッカー部は、民間企業が主導する部活動になっており、県教育委員会・山辺高等学校は、その下請けになっているのではないかと考えます。

 検証の二点目は、民間主導のサッカーチームを高校の部活動として位置づけ、教師が引率し公式戦に出させることについてです。

指導にあたっての教員の負担が大きい部活動について、超過勤務解消の方策として「外部指導者」の制度ができました。さらに、「外部指導者」の活用のみでは教員の負担軽減には不十分であることから、2017年に、より多くの裁量を持った「部活動指導員」の制度が生まれました。

新しく制度化された「部活動指導員」は、学校教育法において学校職員という身分が定められています

報酬が有償であることが定められ、研修が義務化され、校長の監督のもと、技術的指導のみならず、単独で顧問になることや大会に生徒を引率することが可能になります。この「部活動指導員」について、令和3年1月29日の県教育委員会の報道発表では、指導体制の充実の一つとしてボスコ監督を山辺高等学校の「部活動指導員」として任用するとの発表がありました。県教育委員会の基本合意書の見直し連携強化は、民間のボスコサッカーアカデミーの為に、ボスコの監督を「部活動指導員」に任用し、報酬を与えるものとなり、益々、民間の企業に奉仕する体制をつくるものとなっています。教育委員会が言う刷新は、言葉のみであり、文教くらし委員会での私の2回の指摘や山辺高等学校サッカー部の元保護者の苦悩・訴えを真摯に受け止めていません。また、教員の部活動時間の長時間勤務を改善する為の「部活動指導員」の制度を濫用しています。

検証の三点目は、サッカー部の退部者の他校への転学・退学についてです。

令和3年4月15日現在

1期生は、平成29年4月に20人が入部、退部者10人。退部者10人のうち、転学8人、退学1人。

2期生は、平成30年4月に19人が入部、退部者11人。退部者11人のうち、転学4人、退学3人。

3期生は、平成31年4月に13人が入部、退部者5人。退部者5人のうち、転学4人、退学1人。

1期生~3期生を通算すると、52人入部し、退部者26人。50%が退部し、多くの生徒が転学・退学しています。

ボスコサッカーアカデミーを退部すると、自動的に山辺高等学校のサッカー部を辞め、部員は、天平フーズ運営の並松寮を退去することになり、他府県から来ている生徒は、生活基盤を失い、転学・退学しなければならない結果となります。

「サッカーを通して健全な生徒の育成及び地域の活性化を目的」とし基本合意書を締結し、このような図式を作っていますが、この合意書によって、転学・退学等の悲劇が起こっており、県教育委員会、山辺高等学校にも責任の一端があるのではないでしょうか。

今後も基本合意書そのものを見直さない限り、転学・退学等の生徒が生まれてくると考えます。

 検証の四点目は、山辺高等学校のサッカー部に所属するにあたっての諸費用についてです。

 平成29年度の普通科の学びの開拓コースですと、入学生購入物品金額はじめ諸費用の総額が約17万円です。

ボスコへの初年度納付金は、入学手続金20万円、活動費年額72万円で合計92万円(平成30年度は、84万円)。先ほどの諸費用総額の約17万円を合わせると合計約110万円の高額な保護者負担となります。

これ以外にも食費、宿泊費等の費用が本人負担となります。

 山辺高等学校、県教委が基本合意書を締結した学校に於いて、山辺高等学校のサッカー部員として活動するのに、初年度約110万円を必要とするのは、県立高等学校の保護者負担の軽減の原則に大きく逸脱しています。

 検証の五点目は、全国大会への出場を自粛すべきではないかと言う事についてです。画像2

2020年度、多数の部員が飲酒をしているにも拘わらず、全国大会に出場させたことは、物議を醸し、県民から私のところに批判の声が届きました。

また、山辺高等学校の職員会議で教員から、全国大会への参加に反対の意見があったと伺っています。

  そこで、学校は、参加させる為に、1週間、特別指導を実施し、その、指導を経て、全国大会への参加を容認しました。

しかし、その特別指導も部員を全国大会への参加をさせる為の、口実、抜け道をつくる手立てであるとの声が私の所に届いています。

前回は、個人の責任に転嫁し、部として全国大会への参加を容認しております。

今回は、本年4月16日のマスコミ「共同通信」の飲酒・喫煙行為の配信を受けて、慌てて県教育委員会・学校長が記者会見を行いましたが、飲酒していない他の部員については全国大会への参加を容認すると言う前回と同じ方針でした。

残念なことに、今回、飲酒をした4人のうち3人は、昨年の飲酒行為で、特別指導を受けています。

特別指導の効果があったのか。全国大会に参加をさせる為の、形式的な指導であったと言われても仕方ありません。

特に、競技種目の特性から鑑みると、野球、サッカー等は、典型的な集団競技です。

集団競技に於いては、個人の責任のみに転嫁するのではなく、学校、部としての責任の取り方が必要ですし、全国大会への参加については、自粛すべきところが社会通念上、妥当なのではないでしょうか。

 そこで、教育長に伺います。

一点目は、山辺高等学校のサッカー部は、民間企業が主導する部活動になっており、県教育委員会・山辺高等学校は、その下請けになっているのではないか。

 二点目は、山辺高等学校のサッカー部は、民間企業が主導するサッカーチームを公立高等学校の部活動として位置づけ、教師が引率し公式戦に出させている。今後、このような手法が他校でも拡大すれば、教員の部活動での超過勤務に拍車がかかるのではないか。また、ボスコサッカーアカデミーの監督を山辺高等学校の「部活動指導員」として任用するとのことだったが、現在どのようになっているのか。

 三点目は、山辺高等学校サッカー部を退部した生徒の多くが、転学・退学するのは、生徒が天平フーズ運営の並松寮で生活をしており、退部に伴い並松寮も退去しなくてはならないため、生活の基盤を失うからでないか。

 四点目は、山辺高等学校サッカー部で活動するのには、例えば、平成29年度は、ボスコヴィラサッカーアカデミーの初年度納付金が92万円と多額の費用が必要となる。

このような過度の保護者負担は、公立学校の部活動として不適切でないか。

 五点目は、県教育委員会は、昨年、部員の飲酒行為があった山辺高等学校のサッカー部の全国大会の出場を容認した。今回も部員の飲酒・喫煙行為があったにも関わらず、県大会予選会に出場を容認したが、サッカーは典型的な集団競技であり、個人の責任に帰することだけでなく、部・学校としての責任の取り方が問われている中、今般の全国大会への出場を自粛することが社会通念上、妥当ではないか。